2011/05/06

カンバラクニエ×竹中健司

「カンバラクニエの木版画」プロジェクトの幕開けとして行われた
5月5日の「はんがろう にっぽん!」。

そのトークイベントの全貌をご報告します。


会場は建仁寺の塔頭・禅居庵。
「明日はわからへん。」の展示会のイベントの一部で
「はんがろう にっぽん!」は行われました。

二人の出会いの話からトークショーはスタート。
笑いを挟みながら、アットホームな雰囲気で進められました。

「4年くらい前に突然店にクニエさんが来はって、
それから木版教室の生徒で習ってはったんです。
だから師匠と弟子の関係だけど、今は友達みたいな感じです。」

「教室ではずっと小さい丸ばっかり彫って練習してた記憶が…難しいんです、木版。
木版はグラフィックのCMYKの表現だけでなく、色んな色が出せるので魅力的ですよね。」

「水彩画の木版で、世界でえげつないレベルまでいってるのは日本です。
北斎さんの富嶽三十六景は木版印刷のために作られた作品で(写真)
なるべく色数を10色までに抑えて、図案で勝負した名作です。
色数を減らさないとその分手間がかかるから単価が合わない。
そのためにあり得ない図案で勝負して世界にウケたんです。」

「ケンジ先生は、普通の私たちが思ってる職人と違いますよね。
技術を代々受け継ぐ職人でありながら、
アーティストとしての顔も持ち、そして新しい試みもどんどんチャレンジしていて凄いですよ。変です。
竹笹堂で皆さんも木版教室か体験、やってみてください。面白いので!
兄弟弟子になりましょう。はんがりましょう!」

このように話はドンドン弾みました。
そして途中、竹中が実際に北斎を摺って実演をしました。

ぼかしの技法を実演するときは(竹中いわくテッパンの)ネタも披露されました。
一色摺るごとに拍手が沸き起こり、みなさん姿勢は自然と前のめり。
簡単そうに見えるものの、実際に参加者のみなさんも
摺ってみて木版の難しさを実感してもらいました。

そして最後にクニエさんの木版画となる作品が発表されました。

「クニエさんの作品はすごく綺麗だからこれから摺っていて楽しいと思います。
正直なところ摺っていて楽しい仕事とそうじゃないのがあるから・・・」

「今回、木版画というのを意識して描きました。
ケンジ先生にどんな色で摺ってもらえるんか考えながら。
ほっぺたのチークもほわっとした感じをケンジ先生はできるって言ってくれはったんです。
そうやって自分の作品がどういうカタチで返ってくるかというアナログなやり取りが面白いです。」

「そうしてる中で『こうなるんや!こっちの方がいいやん』って
一緒に確認しながら出来上がっていくのがいいですよね。」

「お客さんに届ける作品だから、そういう作り方がいいと思うんです。
今まで広告とかのお仕事をしてきて、作品でありながら消費されるものが多かったので、
今回作品らしい作品を作れるのがすごく楽しみなんです。」

「あとよく、お客さんがヨーロッパ的だね、アジア的だね、日本的だね…とか
色んな感想を持たれるんですけれど、それがいいのかなって最近思っています。
自分自身とくに日本とか京都を意識しているワケではないんですけど。
たぶん、無意識的に今まで経験したものが表現されているのかもしれません。」

「皆さんが次作品を見るときには木版になっているんですもね。
楽しみにしていてください。」

「そうですね。1年きってしまいましたね。
11月に10作品の展示会をするので、ボクも頑張って摺ります。」


クニエさんの魅力と木版画の魅力。
一度にたくさん味わうことができたあっという間の2時間。

だから、あなたも…
はんがろう にっぽん!